不動産業界にもデータ活用のtechの流れがある。
「不動産業界の勉強会でREALESTATE techカオスマップ」が報道発表されている。(http://www.keieiken.co.jp/monthly/2017/0601/)
不動産テックのジャンル
・VR
・IOT
・物件情報・メディア
・ローン・保証
・シェアリング
・クラウドファンディング
・マッチング
・価値可視化・査定
・業務支援
・不動産情報
不動産の業界と言っても、賃貸利用や不動産建築やリノベーション、
売買契約、ローン・保証・保険、契約など様々な用途があり、それぞれに
情報活用のテクノロジーがある。多くが、ウェブもしくはアプリを利用してデータ管理をしている。
不動産物件は、取引金額が大きくなることと取引機会が少ないため
仲介事業者が手数料収入を得やすい。TECHが便利になっても
専門業者抜きで不動産の取引には、日本は国際的に手続きが複雑で
あり現実的ではない。
業務支援のツールの発展によって、会計freeeのように複雑なサービスを
無料開放するビジネスモデルの発展として不動産取引ができるサービスが
できるかもしれない。ただし、個人間取引は、不正に対しての脆弱性が
あり被害が発生した場合のリスクを考えると信頼できる事業者を
利用する傾向は変わらないかもしれない。
それは、行政による手続きの簡素化と不正に対する救済ができるまでの話かもしれない。
現時点では、不動産業界のプロの事業者が情報を握っている。
膨大な取引のデータをAIにより分析することにより、
業界に必要な信用調査の精度が高まり、AIが予測結果が審査に
活用されることが予想される。
これまでの世の中では、賃貸の入居者を家主が審査する際には、
申し込みの個人情報を利用する。勤務先から始まり、年収や負債、
ペットや演奏の趣味があるのか子供がいるのかその年齢などによって
生活スタイルを想像する。
家主の経験と先入観によって判断する。入居者の振る舞いは個人情報から
判断するしかない。芸能人だとマスコミが集まるかもしれないので入居を
拒否されるケースがあると聞いたことがある。
不動産業界でtechでビッグデータやソーシャルメディアを活用したいと
いうアイディアがあるという。利用者の行動情報を収集するようになると、
行動パターンやソーシャルメディアの利用状況によって、問題を起こす可能性
が高い入居者を予測することもできるようになる。
これらの予測は、家主や事業者には有益な情報に見えるが、
ビッグデータ予測による審査がされるようになるかもしれない。
消費者行動情報の利用が進めば、入居者のレーティングが可能になる。
amazonのカスタマー評価のようにこれまでの賃貸で、近隣とのトラブルや
騒音などの評価がされるようになり、物件評価の住みやすい物件か
どうかに近隣評価が加わり、入居者の行動情報も引き継がれるようになる
かもしれない。
オンラインでは、ユーザーの評価情報を公開することによって、
不正行為をする人かどうかを判断しているためリアルでの行動情報も
オンラインサービス上で管理はされるようになるかもしれない。
社会的なレッテル貼りとなるのでプライバシー問題となるが、
techによる監視社会は進んでゆく。ユーザーがプライバシー侵害と
なりそうな気配について早く大きなNOを突きつけると一旦は動きが止まる。
JR東日本がSUICA利用者の乗降客情報を日立製作所に販売しようとした
際に利用者がプライバシー侵害ということで炎上し、販売が停止に追い込まれた。
techを開発する側は、技術がもたらす可能性と利便性を想像して、
「できることならやってみる」。
それによって利用者のプライバシーの問題が起こるかどうかの検討は
かなり後回しになる。JR東日本の担当者は「SUICAの登録情報がない
乗降客情報は、個人情報ではない」という認識を持ち、日立製作所は
立派な会社なので問題ないという考えであった。
個人情報について、以前の個人情報保護法では、「個人を特定識別できる
もの。」という要件に着眼し、登録情報を外せば本人の特定識別が
できないので個人情報ではないという見解をもつ。法的に個人情報の
定義から外れているので、個人情報じゃないということだ。
TRUSTe初代代表ボブ・ルーインから、過去に学んだことだが、識別情報が
いくつかあれば必ず個人が特定できる。
米国人2億人でも6つの要素があれば、本人にたどり着くという。
これは、個人情報の特性だという。
識別情報は個人情報の一部であるので、要素を減らしてもおおもとが
特定の個人がいればいくつかの情報では本人だとわかる。顧客や会員や
購入者などなんでもいいが、個人情報の接点となる人がそこにいれば、
いかなる情報も個人情報であることが事実だ。
話が逸れてしまったので元に戻すと、techによりプライバシーに関する情報
を利用する事業者は、個人情報保護法の特定という言葉のパズルには
まって、国民からのNOを突きつけられるよりもプライバシーに
関わる問題として情報の取り扱いに配慮すべきだ。
不動産techは、一生の買い物であるマイホームやリノベーション、不動産投資
など信用に関わる個人情報の取り扱いがあるので、事業者選択の際には
手数料が安いという理由だけではなく事業者の信頼性も必要となる。
怪しい事業者に資産の情報を無警戒に提供することなどは危険な行為だ。
TRUSTeもオンラインで個人情報を提供する際に信用できる相手であることを
第三者が保証する制度として始まっており、プライバシーステートメントで
その取り扱い内容が全て公表される。全てを公表していないTRUSTeライセンシーが
あった場合は、それを根拠にユーザーは利用しないこともできる。
インターネットの社会での自己防衛は自己責任であり、サービスの透明性は
利用者が危険かどうかを判断するツールだ。ユーザーに判断を委ねるためにも
透明性が望まれる。
IOTにより集められたデータを掛け合わせたビッグデータは、
今までに想像できなかったことを可能とする。
人々の行動をベースとした情報を活用する際にはプライバシー問題に
発展する可能性が必ずある。プライバシーを認識してサービス開発時に
検討することをプライバシーバイデザインと呼び西欧では導入されている。
導入後のプライバシー問題が発生した場合は、炎上が社会問題となり
サービスの停止となる場合があるからだ。
不動産techでプライバシー問題に発展しそうだと予想することは、不動産の
審査際の行動情報の無断利用とAI予測をそのまま採用するAIによる差別問題と
不動産の監視カメラのマーケティング利用によるプライバシー侵害が
近未来に発生する予感がする。近年のプライバシー問題から類推される。
実現しない方が良い世の中だ。当該マップの事業者にはそれは無さそうなのが何よりだ。