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他部門からの個人情報保護への反対

■ 個人情報保護が成長の邪魔になると考える人もいる



個人情報保護が好業績にストップをかけないかどうか不安に感じる幹部社員がいるケースのご相談の件について

現在、ビジネスの状況が良い場合には、変化を導入して成長をストップさせることをリスクになるという考えを社内に発生することがあります。

特に個人情報保護を推進しない部門でプロフィットを稼ぐ部門はその傾向にあり、企業にパワーバランスによって異なるため個人情報保護対策の実施の時期や内容に大きな影響を与えます。

多くの企業では、個人情報保護は、経営管理面のコストセンターが対応をするので、 業績が良い場合は特にプロフィット部門の発言が優先されることが多いと思います。

「個人情報保護はしないといけない」というテーマを先送りに何度かするうちに、社内担当者のうちにコンセンサスが芽生え、好決算の利益処分の一つの方法として個人情報保護への投資を決断するケースが多いように思えます。

■ 個人情報保護の先送りは地雷原をあるくようなもの

個人情報保護の専門の多摩大学の星野教授などは、過去の講演で個人情報事故のリスクを地雷と例えています。

個人情報事故は足元にあるのをしらず、企業活動を行い順調だと思っていたある日に地雷を踏んでしまう。現在、無事故だと思っていますが、個人情報の持ち出しは既にされているリスクがあります。

コンシューマー向けビジネスでは、企業の成長と扱う個人情報は比例すると思われますから、日々の成長により個人情報事故の際の被害も成長することになります。

この観点から、個人情報保護をしないで成長させようという思考には、大きなリスクが潜んでいることを認識したほうが良いと思います。

■ 個人情報流出で実際に痛い思いはしないとわからない



個人情報保護には、社内調整が必要です。その際に企業の抱えるリスクについての話をしても受け入れて頂けないケースが多いとわたしは思います。

個人情報流出によって企業に大きなダメージを経験したことがない場合には、自分の主張とは違う意見を聞き入れるのはなかなか難しいと思います。

では、どうすればよいのか。

■ 個人情報保護=セキュリティではない



私の経験からの私見ですが、個人情報保護の反対する方のほとんどが個人情報保護についての正しい知識を持っていません。

個人情報保護という考え方自体が、歴史的に浅く、社会環境の変化に応じて発生したものに過ぎません。

個人情報保護を正しく学んでいない方にとっては「個人情報保護=セキュリティ」で、業務へ足かせとなることをイメージしていると思います。情報セキュリティは大事な要素でありますが、それだけではありません。

■ ネットでは、売上げにプラスになるプライバシー対策



個人情報保護は、消費者とのトラブルを未然にふせぐ事前の説明であったり、サービスの高品質化につながる同意の獲得という機能があります。

アメリカの金融機関であるイーローンは、プライバシー認証TRUSTe導入により、インターネットでの申込を3~5%上昇させました。小売サイトであるDebnrooは、TRUSTe導入により売上額を29%も上昇させることができました。

認証マークは、ユーザーのサブミッションにプラスの影響を与えることは、心理効果としてあるようですが、それだけではなく、プライバシーステートメントという個人情報取扱いの宣誓をユーザーに行うことで、ユーザーからの信頼を得て、インターネットの絡む業績の上昇につながるということです。

プライバシーステートメントを誠実に作成することがあれば、プライベートで不要な個人情報の収集はなくなり、説明のない勝手な個人情報の利用がなくなります。

個人情報保護で業績にストップがかかると考える部門の幹部には、「インターネットでの個人情報についての説明責任を果たすことは、ネットでの業績にプラスとクレームの減少につながるメリットがあり業績に悪影響は与えない。」といえると思います。

■ ずっと成長したいならプライバシー対策を

日本では、個人情報流出事故の報道が依然として多いですが、世界では、APPLEやgoogleなどが訴訟になるようにプライバシー情報の取扱いについてのほうが大きな問題となっています。

情報を扱う多くの企業が現在のビジネスをまったくそのまま10年も20年も行うことができません。環境ともにビジネスを変化させていかなければならないなか、個人情報流出を防ぐのは当然として、ユーザーのプライバシーを上手に取り扱う方向に舵をとる必要があります。

個人情報保護の反対派には、情報セキュリティ強化で業務に支障がでて業績にブレーキをかけるものばかりではなく、むしろ、ユーザーとのオンラインでのコミュニケーション改善で業績向上や今後の業務変革に個人情報保護(プライバシー保護)に役立つものであるとご理解いただければ、反対はなくなりむしろ協力いただけると思います。

個人情報保護は、一部門だけでは意味がありませんから、業績にプラスにつながる個人情報保護を優先的に進める方向であっても、理解を深め合うことが重要です。

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